一瞬の間が勝敗を決めてしまう剣道では、機会を掴んで打つべきところで打った者が一本を取れるのです。
ただ闇雲に打っているだけでは剣道では勝てません。
なので、剣道では一本を取ることは時として非常に難しくもあります。
この打つべき機会の見極め方として、現在の日本剣道形を作り昭和初期には最高峰の剣士と称された剣聖・高野佐三郎氏が、剣道教本という著書の中で「七つの好機」として次のように述べてます。
敵の実を避けて虚を打て
(敵の注意がいっている所は避け、注意も力もいっていないところを打て)起こり頭又は懸かり口を打つ
(敵が何か起こそう、動こうとするときに隙ができる)狐疑心の動くのを見たならば打つ
(狐疑心の動く(疑いためらっている状態)では、打とうとする意思も防ごうとする心も働かない)居付きたるを打つ
(居付くとは、(疲れたり、戸惑ったりしたときなどで)心も身体ともに動かない・変化がない状態を言い、そこに好機がある)急かせて打つ
(急いだり、焦ったりするとき必ず隙が出来る)尽きたるを打つ
(敵の体力や気力が尽きたとき打て)剣尖(剣先)の下がったところを打つ
(敵が中段又は下段の構えでいるとき、剣尖(剣先)が下がった瞬間を打て)
一本を打つには、これらを一瞬で判断し決断をしなければなりません。実力が上がれば上がるほどこの機会が少なくなり一瞬の見極めが難しくなります。
これは一朝一夕で会得できるものではありませんが、これらを意識しながら日々の稽古をすると大きく成長できるでしょう。また逆に自分自身が上の「7つの好機」を相手につかれないようにすることも大事ですね。
剣道には『観る/見る』ことが最も重要とされ、特に試合では相手や自分の状況が観れるかどうかが勝敗を決めます。
お互い静かに構えているかと思えば、ある一瞬で勝負が決まることはよくあります。剣道ではこの『一瞬』を見抜き反応しなければならなく、逆に『一瞬』でも相手に隙を与えてもいけません。
こういったところに、速さや身体能力だけでは成し得ないものを剣道では必要とされるのではないでしょうか。
剣道ではこの一瞬を取るのために、試合で相手と攻め合って、そしてもっと前から見れば日々の稽古から戦いが始まっているのですね。
僕は一瞬をかけるこの想いに剣の道があるように思います。そして、ここに何か剣道の奥深さがあるのではないでしょうか。

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