多くのスポーツはその体格の差や身体能力の差で優劣がつく場合が多いのですが、剣道の場合は必ずしもそうではありません。
力のある限りどんとんと打っていく剣士もいますが、それではなかなか勝負を決めることが出来ないんですね。
また、体力任せだけの剣道では相手が強者の場合は通用しなくなります。逆に不利にさえ働いてしまう場合があるのです。
剣道ではもっと他の重要な要素が必要なのです。
確かに剣道でも速くて身体が大きいことが有利に働く場合も多くあるのですが、宮本武蔵はこのことについて著作の五輪書で次のように書かれています。
(中略)
上手な人のすることは、いかにもゆっくりと見えて、しかも間がぬけていないものである。諸事に熟練した人のすることは、こせこせした(落ち着きが無い)ようには見えないものである。」
五輪書 宮本武蔵著 鎌田茂雄全訳注(講談社)より
これは非常に重要なことです。ただ速いことや、身体が大きいことで、決して勝てるわけでないこと。そしてその速さも身体の大きさも相手に打ち込める拍子や機会を知ってこその速さであり、打つ機会を知らなければ決して相手に勝てないことを言ってます。
剣道では打つべき機会を知ることが非常に重要なのです。そして、剣道では相手より先を取れるかどうかで勝敗を決めると言っても過言ではありません。
ただ打ちたい気持ちだけで、相手に突っ込んでいくようではダメなんですよね。
相手や自分自身の状況をよく観て把握して、打つべき機会を掴まなくては勝てないのです。
僕の道場では、70歳を過ぎた年齢の先生が高校生の若者を軽くいなし、隙があればその高校生を簡単に打ち込んでいる光景を何度も見ることができました。全く無駄のない動きで「ポン」と一振りで。
高校生には見えないものがこのご高齢の先生には見えているんでしょう。そして、ここに剣道がどんな年齢でも活躍できる理由があるのではないでしょうか。
では、打つ機会というのはどんな時なのでしょうか?そして、その見極めとは?
そのポイントを次回に書いてみようと思います。

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