剣道で大切なものとして『眼』があります。眼とは「観る・見る」のことです。二つとも“みる”なのですが、「観る」とは心の眼で観て相手の動きや心理を体で感じることであり、「見る」とは目で物事を見る、という意味があります。
また、「観る・見る」について、剣豪として有名な宮本武蔵が書いた五輪書で
とあります。
これは、単に目で相手の動きを追うことよりも、「観の眼」つまり「心の眼」で相手の動きや心理をよく観ることが大切だと言っているのですね。
そして「観の眼」で観ることができれば相手の動きを体で感じ取り、相手よりも“先”に動けることによって、有効な攻撃ができるのです。
このように観るというのは非常に大切なのですが、しかし眼を鍛えることは一朝一夕では成し得ることが出来ません。やはり日々の稽古と経験が必要不可欠なんですね。この辺りもまた剣道は日々稽古を必要とする所以でしょうか。
しかし、日々の稽古の取り組み方によっては集中的に眼を養うこともできます。そしてこの取り組みによってライバルとの差もつけることもできるのです。
では、その眼の練習方法について見ていきましょう。
1.他人の稽古を観察する
他人の剣道をじっくりと観察することは眼の練習になります。
他人の稽古や試合をただぼーっと見るだけでなく、「もし自分があの人の立場ならどうするだろう・・・」「なぜあの人はあのように打ったんだろうか・・・」などと考えながら観察するだけでも非常にためになります。これは客観的に剣道を見ることによって、相手の心理・打ち方・足さばき・試合の流れなどを知ることができる訳なんですね。
ただぼーっと見るだけの人と考えながら見ている人とでは、当然その後の剣道に差が出てくるのは言うまでもありませんね。
また、これを剣道では見取り稽古と呼ばれています。
2.元立ちに立つ
元立ちに立って指導するときも眼の練習ができます。元立ちとは下級者に稽古をつける側・教える側の人のことです。
ある程度の経験を積んでいくと、今度は上級者となって元立ちとして下級者に稽古をつけることがあります。下級者は元立ち(上級者)に向かって精一杯打ち込みに行き、上級者に指導されることによって、得るものがたくさんあります。
この時、上級者は下級者に指導するために、下級者の出るところ・技の決まるところ・隙の出来るところ等をじっくり観察し指導しなければなりません。
指導する場合も相手(下級者)の動きを観察することによって眼の練習にもつながります。
下級者だけが稽古をしているのではなく、上級者にとっても役に立つ稽古であるというわけですね。
3.本を読む
本は僕達の知らないことや分からないことを解決してくれる道具となります。
僕は本とは先人の残してくれた財産だと思っています。彼らが何十年と生きてきた中で培われた知識や経験が本という形なって凝縮されているのです。僕達が後何年、何十年をかけてやっと理解できることを本を読むことで数時間、数日で知ることが出来るのです。
そして、何度も読み返したり、じっくりと吟味しながら読むことによって疑似体験することもできます。
そして最も大切なことは本で読んだこと・学んだことを実際に実行することです!(これはとても重要です。)
本を読むことで最も大切なのは著者の考え方や哲学を読み取ることです。著者が本当に言いたいことが何なのか、実際に実行してみて体で感じてみましょう。
このように、竹刀を持って自分が中心になって稽古をしていなくても、あらゆる物事に対して常に真剣に取り組んでいるだけでも眼の練習になります。
上の3つは本当にちょっとした事なのですが、このちょっとした事がライバル達よりも上達を早めることが出来るのです。

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